こんにちは、こうちたつきです。
みなさんは「マクロビ」という言葉を聞いたことはありますか?
ベジタリアンの一種、健康法、など捉え方はさまざまですが、いざ言葉の意味を聞かれると意外と答えられない言葉ですよね。
マクロビはベジタリアンよりも敷居が低く生活に取り入れやすい食事法の1つです。
普段の生活の中にマクロビを取り入れたことで、ダイエットに成功したり病気にかかりにくくなったという口コミもあるほど。
そこで今回は、マクロビについて簡単にご紹介します。
マクロビを知ることで、自分の体と向き合いながら、毎日をていねいに生きるヒントが見つかるのでは。
生活のすべてをマクロビに移行できなくても、取り入れられそうなことから始めてみてくださいね。
マクロビってなに?
「マクロビ」とは、マクロビオティックの略称です。
マクロは「大きな」、ビオは「生命(バイオ=bio)」、ティックは「術」という意味で、大きな視点で生命を考える長寿法という意味があります。
食文化研究家・思想家の 桜沢 如一(さくらざわ ゆきかず)氏 が独自の陰陽論を取り入れて考案した長寿法で、穀物菜食・玄米菜食・自然食などと呼ばれることも。
自然本来の食事を目指しているマクロビでは「無添加・無農薬」が重視され、具体的には肉類や大型の魚、乳製品、砂糖などは控え、玄米を主食として野菜、フルーツなどを中心とした食生活が推奨されています。
マクロビの基本指針は「身土不二」「一物全体」「陰陽調和」の3つ。
これは人為的な食物を取らないこと、環境や季節に合ったものを食べることに重きをおき、自然に逆らうことなく環境に合った食事をして長生きをしよう、ということです。
ベジタリアン、ビーガンとどう違うの?
マクロビとよく比較されるものに、ベジタリアンやビーガンなどがあります。
どちらも肉や魚を口にしない人を表す言葉ですが、実は少しずつ異なります。
ベジタリアン
ベジタリアンとは、肉や魚を食さず、野菜や豆類などを中心に食事を行う人を示します。
現代では、乳製品はOKというベジタリアンや魚はOKというベジタリアンなど、一言で「ベジタリアン」と言ってもさらに細かく分類されます。
セミベジタリアン
セミベジタリアンとは、通常のベジタリアンが食べるものに加え魚介類も食する人を示します。
「セミ」は半分という意味。
通常食とベジタリアンの中間の立ち位置にあることから、このように呼ばれます。
ラクトベジタリアン
「ラクト」は乳製品という意味。
ラクトベジタリアンとは、通常のベジタリアンが食べるものに加えて乳製品も食べる人を示します。
オボベジタリアン
通常のベジタリアンの食事に加えて卵や乳製品も食べる人々を示します。
オボとは「卵」という意味で、受精していない卵は命ではないという位置づけから、卵や乳製品を摂取できることが特徴です。
ペスコベジタリアン
肉、卵、乳製品を食べることを控える人々です。
魚と野菜を中心とした食生活を送るため「魚菜食」とも呼ばれます。
ビーガン
ビーガン(ヴィーガン)は、ベジタリアンよりもさらに基準を厳しくした絶対菜食主義です。
一般的なベジタリアンが食べる卵、乳製品、はちみつといった動物性の食品も、ビーガンでは一切食しません。
食生活だけでなく、衣類などもできる限り植物由来のものを使う「エシカルビーガン」という考え方もあります。
マクロビの軸となる3つの考え方
1.身土不二
「身土不二」とは、身体(身)と環境(土)はひとつである(不二=2つではない)という意味です。
マクロビにおける「身土不二」は、その土地にあったものを食べるということ。
自然に逆らわない食生活を送ることで体の調和が保たれる、と考えます。
人間と環境は1つであり同じ要素で構成されていると考える「身土不二」において、その人にとって最も理想的な食事は「環境に合っている食材」です。
つまり、その地で採れた食材を食べる、季節に合った食材を食べる、ということが大切、ということ。
そのため、住む地域によって食べるべき食べ物は異なります。
暑い地域でしたら体を冷やす水分の多い食材が、寒い地域では体を温めてくれる食材を取り入れましょう。
加えて、時期に合った旬の食材を食べることも重要です。
春は白菜や小松菜、キャベツなどの葉野菜、夏はきゅうりやトマト、ナスなどの果菜、秋はじゃがいも、玉ねぎ、いんげんなど、冬は人参や大根、れんこんなどの根菜類を中心に食事に取り入れてみましょう。
2.一物全体
一物全体とは、食物を一部分だけでなくまるごと食べるという意味です。
マクロビの主食が玄米であることも、この方針が関係しています。
もちろん、りんごの皮やもやしのヒゲなど、普段は捨ててしまっている部位でもまるごと食べます。
もちろん現実的に食べられない部分もありますので、可能な限りで構いません。
マクロビでは自然との調和を目的としますので、より環境と一体となるためにも食材をまるごと食べるということは重要です。
この考え方は、次の項目で説明する陰陽のバランスを整えることにもつながります。
3.陰陽調和
マクロビを語る上で欠かせないのが、東洋に昔から伝わる「陰陽」の考え方です。
陰陽の考え方とは、すべてのものは「陰」の性質と「陽」の性質で成り立っているというもの。
陰陽そのものの定義は難しいのですが、一般的に陰は拡散していくエネルギー、陽とは収縮していくエネルギーであるとされています。
マクロビではこの「陰」と「陽」のバランスを取ることを大切にしており、食生活においてもバランスを重んじます。
陰陽のバランスを保つことが体と心の調和や健康につながる、ということです。
マクロビでは食べ物にもそれぞれ陰性、陽性があるとしており、これらをバランスよく摂取することが望ましいとしています。
陽性
・寒い地域で育つ
・比較的背の低い植物
・根菜
・丸っこい食材
・水分が少ない野菜
・ナトリウムが多い食材
具体期な食材:にんじん、ごぼう、自然塩、チーズなど
陰性
・暑い地域で育つ
・比較的背の高い植物
・葉野菜
・細長い食材
・水分が多い野菜
・カリウムが多い食材
具体的な食材:さつまいも、トマト、ぶどう、はちみつなど
マクロビの研究成果
気になるマクロビの栄養バランスについてですが、肉や魚、卵などを完全に絶った場合、一部栄養素の不足の恐れがあると言われています。
こちらは2001年にマクロビについての研究を行った近藤みゆきさんの論文です。
マクロビオティックについて/名古屋文理大学短期大学部 近藤みゆき
論文では、マクロビの栄養バランスについて「計画された思慮深いメニューと注意深く考えられた食物の選択で、すぐれた栄養を摂取できる」と記述されている一方「マクロビオティックに関する文献を調べてみると『かなり栄養的に偏りがあり、リスクが高い』と警告するものも多かった」とも記述されており「科学的にマクロビオティックの有効性を証明することは、難しいのかもしれない」と結論づけています。
このことから、厳格すぎるマクロビの実践は栄養面でリスクがある可能性も捨てきれません。
マクロビでは、小型の魚や卵、乳製品などは完全に禁止されていません。実践する際は、栄養の偏りに支障のないよう注意しましょう。
フルーツ・ドライフルーツとマクロビの関係とは?
マクロビでは、フルーツを食べることは推奨されています。
砂糖の摂取を控えるマクロビで、フルーツやドライフルーツは貴重な糖分です。
マクロビを実践する際によく出てくる声に「甘いものが食べたくなる」というものがあります。
今までの生活からマクロビに転換すると、どうしても甘いものが欲しくなるときがあるかも。
そんな時は、フルーツやドライフルーツを口にしてみては。
「甘いものを食べてはいけない」と思うと余計に食べたくなるし、ストレスになって健康面や美容面から見ても好ましくありません。
デザートとして、砂糖や人工甘味料などを使用しない生のフルーツやドライフルーツを普段の食生活に取り入れると、マクロビを実践しやすくなりますよ。
なお、マクロビではフルーツは主に陰の食べ物とされていますので、陽性の食材と合わせて食べるとより効果的です。
まとめ
今回は肉や大型の魚などを摂らず、玄米を主食として野菜などを食べるヘルシーな食事法、マクロビオティックについて紹介しました。
陰陽のバランスを取り、自然と一体となった食生活で人間本来の生命力を取り戻そうというのがマクロビの試みです。
マクロビは、ルールに縛られすぎることなく栄養バランスに気をつけながら実行することで、健康な体を維持しやすくなります。
甘いものを禁止しているわけでもないので、ヘルシーな食事がしたいけど甘いものも食べたいという方でも実行しやすいと言えるでしょう。
普段は食べない野菜の根っこや葉っぱなどを食べる、お菓子をフルーツに代えてみるなど、いつもの食生活を少しだけ変えてみることからスタートしてみると良いかもしれません。
一度にすべて実践することは難しくても、身近なところから少しづつ、マクロビの考え方を取り入れた食生活を送ってみるのはいかがでしょうか?